冷麺

さて、昨日観劇した市民参加の芝居。感想をば。
市民参加という形態をとると、どうしてもこういう感じになってしまうのかな、というのがシンプルに感じた感想です。
市民参加でオムニバス形式というのは、なかなかなかった試みだったとは思います。でも、そのスタイルが逆に私にはマイナスに見えました。オーソドックスに一本の芝居を上演した方がすっきりとしてよかったのではなかったかなと。
複数の脚本家による複数の脚本、それを複数の演出家が手がけ、大勢の役者が出演する。市民参加なだけあって、芝居経験者もいれば、そうでない人もいて、経験値なんかを含めた力量も千差万別のキャスト陣。そうそうたるメンバーがスタッフとして協力にバックアップしていたところで、やっぱりまとまりのない感じで……途中、台詞とか芝居の様子がさっぱり頭の中に入ってこないところもありました。
お祭りな雰囲気としては成功してたようだったと思います。参加してる人たちの楽しんでいる、充実している気持ちは十分に伝わってきたし、客席からはちらほらと出演者の身内やら友人やらの「○○さんが出ている!」と喜んでいるような様子がうかがい知れて、お祭りだなぁってほのぼのもしました。
でも、「久々の市民参加の芝居で、何か面白いことをするらしいぞ」という気概で観に行った立場として、観劇後は「楽しそうだったね」という感想にとどまってしまうのでは?
無類の芝居好きとしては、今回の舞台がきっかけで芝居好きの輪が広がったり、芝居の魅力を知ってる人が増えることは純粋にうれしい。そういう人に、舞台を作る側の魅了を知りうる人たちに、「だしょー?芝居っていいでしょー?」って、内心共感したくて、ちょっとだけうずうずする。
でも、本音のどこかでは、私自身も芝居を楽しみたかったなって。観劇する者として当然のささやかなフラストレーションを抱えつつも劇場を後にした次第です。
具体的に細かいことを言えば、ショートショートに不自然さを感じた。ああいう抽象的な表現は脚本家の彼女の特徴で、それを得意とする、そういう魅力を持った表現者ではあるんだけど、今回のスタイルの試みには不向きだったんじゃないかなって。とっつきにくいもの。個人差あると思うけど。
あと、最後のやつはあんまり好きじゃなかったなー。2時間半の最後に、ああいう説明をくどくどとされるようなものを持ってこられてもなぁ。好みの問題もあるけど、さぁーっと舞台との心的距離を置いてしまった。
だったら、その前にやってた給食のやつくらい、わかりやすいばかばかしさを伴って、爽快に観られるものの方が断然いい。
っていうか、あの給食のおじいちゃんにやられました。よかったよ、おじいちゃん。どうやら私は、舞台に立つ年寄りに弱いらしい……
ま、そんな感じ。思いのほか、長くなっちゃった。