本人だった

1カ月くらい前に、某喫茶店へ一人でお茶しに入って、閉店間際だったためカウンターの中にいたお姉さんと
「もうすぐ閉店ですけど、いいですか?」
「あ、はい」
ってな会話を交わしたことがあった。
その時のお姉さんの顔、どこかで見たことがあると。でもって、ああ、あの人だと。
そう思ったんだけど、いやいや、あの人はあのショップの人だから、ここにいるはずないと。他人のそら似と決め込んでた。
今、そのショップのサイトに久々に行ったら……閉店してました。しかも、随分前に。
しばらく行ってなかったからなぁ。でも、好きだったのに、あのお店。閉まっちゃったんだ。
あのお店にあった、ひときわ魅力を発していたあのファイヤーキングはどうしてるんだろう?今、誰の手のひらの中におさまり、どんな飲み物で満たされてるんだろう。今は、どんな棚の中でひっそりと秋の夜長を過ごしてるんだろう。
あのお姉さん、本人だったんだ。
今度行ったら、話しかけてみよ。
「おつりでもらった赤い糸の五円玉、今でも大切にお財布にしまってありますよ」って。
「ずっと、どうしても使えなくって、今では私のお守りです」って。