ままごと

昨日の午前中。
家中の窓を開け放ち、頭と首に手ぬぐいを巻き、ノースリーブに短パンで、全身びっしょり汗だくになりながら床に雑巾をかけていたとき。
ふっと当時のことが頭をよぎり、床に座り込んだまま号泣。
一度頭の中にあの出来事が浮かぶと、感染力の強いウイルスのようにあっという間に増殖して、考えがあふれていって、思考も体もそのことに支配されてしまいます。
ツレは朝からラジコンにでかけ、私一人きり。
未来を産んでから退院までの数日間。
毎日、未来を病室に連れてきてもらっては、ツレと2人で一生懸命未来をあやし、一生懸命未来に話しかけ、世話をする。
世話をするといっても、泣きもしない、おむつの交換も要らない、ミルクも欲しがらないので、未来の体のしたに保冷材を敷いて、それを定期的に交換する程度。
未来が私の体温で暖まってしまうので、ずっと抱っこしていることも叶わない。
数日たってくると、だんだん色も変わって、においも変わって、肌の弾力も変わって、顔つきも変わってくるので、できるだけ冷たくしてあげようと、真冬だったにも関わらず、暖房をとめ、病室の窓を開け、できるだけ室温を下げる。
冷たい病室に、動かない冷たい我が子。
一日じゅう、病室に閉じこもってあやす夫婦。
毎日、我が子の成長を見るのではなく、我が子の肉体が崩れていくのを何とか食いとめようと世話を焼く。
今思えば、そんなのお母さんごっこだ。ちょっと変わったままごとだ。
三者が冷静に見れば、奇妙な行動かも。
でも、それでも。
あの当時、私は母性に満ちていた。