地球に優しい計画

おかたい話をするよ。
京都議定書発効に伴い、各地でいろんな動きがあると思われるが、岩手でももちろんその対策の第一歩が動き始めている。今月の13日、岩手県地球温暖化対策地域推進計画*1が公表された。岩手県では、二酸化炭素の削減目標を8%*2と、国の6%を2%も上回る数値に設定し、それをクリアするためこの推進計画の軸ともなる8つの対策というものを打ち出した。その8つの対策ってーのざっくりと書き出すと……

  1. 断熱による冷房、暖房の工夫とか
  2. 自転車、バス、電車とか使って、車に余り乗らないとか
  3. 工場、事業所等のエコ化とか
  4. 省エネのいろいろ
  5. 森を育てることと木材とかを使うこと
  6. 新エネルギーのいろいろ
  7. エコライフのこと
  8. 環境教育のこと

この8つの対策、ぼんやり見てると「ふーん、なるほどねー」とは思うんだけど、実際これを県民として実行しなさいと言われると腑に落ちないところは、ある。
特に2番目。つまり排気ガスを減らそうぜ!そして、二酸化炭素削減につなげようぜ!ってことなのはわかるよ。理にかなってると思うよ。でもさ、岩手の交通の便の悪さをちゃんと考慮に入れて物言ってんのか?って思うよなぁ。例えばうちの方なんか公共交通と言えばもっぱら電車。最寄りのバス停からバスに乗っても乗りかえをしなければ盛岡市内へは行けない。しかも、バスは盛岡市内からは往復で1,000円弱と運賃も高い。電車も最寄りの駅まで徒歩20分。電車本数も少なく、朝の通勤時こそ30分に1本ぐらい走るが、基本的には1時間に1本。少ない時間帯になると2時間に1本の電車になる。こっちだって、そんな少ない本数の電車にスケジュールを合わせられるほど暇な生活してないし、必然的に車を使っちゃう。盛岡近郊でこうなんだから、もっと田舎の方にいけば状況はさらに厳しくなるのは火を見るより明らか。しかも、岩手の場合、そういう事情を抱えている地域が大多数を占めるんじゃないの?非現実的だし、理想論と思われても仕方ないよね。
それから、5番の森林の活用云々のところに関して言えば、この中にはペレットストーブ*3の普及なるものが入ってる。知ってる?ペレットストーブ岩手県が開発し、普及させようとしている暖房器具。木材加工の際に出る木くずをペレットと呼ばれるチップに加工して、それを燃料にしたストーブをつくったってわけ。これでゴミは減るし、化石燃料を使わない地球にも優しいストーブで暖もとれるし一石二鳥!北国岩手にぴったりじゃね?ってな感じのストーブなんだけど……これがベらぼーな値段なわけさ。安いので30万円くらい。高いのだと100万円弱。そうなると、導入は公共施設とか大きなところに限定されてくるよね。地方交付税が大幅に削減され、経費節減が叫ばれてる中で環境のためにわざわざまだ使える暖房をとっぱらってこのストーブを導入するところなんてあるかしら?新しく建設するようなとこじゃないと導入は難しいし、大体、お金がない中で新しい箱物を建設する自治体自体が少ないと思うけど。今は、どこの自治体も新しい施設をつくるどころか、既存施設の用途変更(使い回し)でなんとか経費を抑えようと必死になっているところが多い。ねぇねぇ、無理ないですか?
二酸化炭素削減目標達成年次は2010年。あと5年でペレットストーブを普及させるの?あと5年で自動車に乗らなくても不便を感じないような公共交通網の整備をしてくれるの?厳しいと思うけどねぇ。
まだまだ詳しく読み込んでいけば、ツッコミどころのたくさんありそうなこの推進計画。ま、仕事柄、こんなこと考えたりもしちゃうのよ。

*1:公式HP http://www.pref.iwate.jp/~hp0208/05on/suishinkeikaku/suishinkeikaku.htm

*2:1990年対比。2003年実績では3.3%増えているので、実際は11.3%の削減を目指す。

*3:ペレットストーブの一例 http://www.sdg.or.jp/act/stove.html